1986-1992
作品集
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井田子水門
ナムコ ワンダーエッグ
ホテル・シーショア 宴会場
高齢者のための工業化住宅
ダイキン オー・ド・シエル蓼科

近田玲子デザイン事務所が手掛けた作品のご紹介

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井田子水門

建築設計:GK設計
竣工:1991年

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1991年 北米照明学会賞 Award of Merit
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この水門の特徴は上に見晴らし台があることである。照明計画の目的は、海上の漁船から眺めた時に街の位置を知る標識として、陸上からは夜も人々が美しい海を眺められる見晴らし台として、また海辺の街のモニュメントとなる夜景をつくることであった。

照明が明るすぎると、周囲の景色は見えにくくなる。下がマッシブなコンクリート、上が軽快なパイプ構造のタワーという、対照的な二つの素材をどのように光で演出するか、また、明るさと暗さとバランスをどう計画するかが照明の重要なポイントであった。マッシブなコンクリート水門の上部に、小さくて温かい色の白熱電球を取りつけ、コンクリートのリブを浮かび上がらせると同時に、上の見晴らし台の床から光が透けて見えるようにした。

また、見晴らし台の照明としては、上にのぼった人が安全に歩けるための足元照明と、タワー・ストラクチャーをシャープに浮かび上がらせる光の二つを兼ねた、メタルハライドランプの白い光を設置し、水門全体の夜景として重量感の違う二つの素材を、光の色の違い、明るさの違いで表現した。
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ナムコ
ワンダーエッグ


建築設計:都市設計、アトリエアイ
竣工:1992年


ナムコ ワンダーエッグ
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ホテル・シーショア
宴会場


建築設計:建築計画山本良介アトリエ
竣工:1990年

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1991年 北米照明学会賞 Award of Merit
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宴会場は、地域の会合、結婚式の披露宴、研修会など様々な使われ方に対応出来る照明でなければならないが、自家発電機による電源のため、管理面からは出来るだけ省エネルギーの照明にすることが望まれた。また、天井高が3.2mと宴会場にしては低く、ブランが1/4円と不整形で、部屋の中に柱が2本建っているために照明計画が非常に難しかった。

デザインイメージはゆりの花。

中央のシャンデリアを花芯に見立てて天井と壁全体にわたって花びらを描き、外に向かって開いていく様子を光で表現した。照明計画の中心は、宴会場全体を引き締める、繊細でシャープな曲線が特徴の、小さなたった一台のシャンデリアと、花弁を形作る蛍光灯の間接照明である。「花」の周囲に電力消費が少ない12V50Wハロゲンランプのピンホール型ダウンライトを、小さな星のようにちりばめることにより、1/4円というプランに照明計画をうまくなじませることができた。メインテーブルが置かれる正面の壁面には、カラーチェンジするホリゾントライトを設置した。

天井全体に広がる有機的な「花」のフォルムを、部屋全体の調光システムと連動させて様々な花の姿や色に変化させることにより、宴会場として使う時の華やかさ、研修会場として使われる時の落ちつき、結婚式の披露宴に使われる時の演出などに対応できる雰囲気をつくり出すことができた。
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高齢者のための工業化住宅

建築設計:積水ハウス
竣工:1988年


高齢者のための工業化住宅
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1990年 北米照明学会賞 Award of Merit
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高齢者は、一日の大半を家で過ごすことが多い。この計画では、太陽光に近い光色、長寿命、高照度という利点のあるメタルハライドランプと蛍光灯を使って、昼間の照明環境をつくり出すことをテーマとした。デザインのポイントは、次のような内容である。

(1) 昼間の補助照明を考える。
玄関一一昼間明るい外から玄関に入った時、うす暗さを感じるのは誰もが経験すること。メタルハライド(HQI-NDL)ランプ150Wとミニクリブトンランプ100Wの2種類の光源を設置し、昼間はHQIのさわやかな明るさ、夜は白熱灯の柔らかいあかりと使い分ける。
居間・和室・寝室一一ベッドで本を読んだりする時に充分な明るさをとるために、目に直接光が入らない蛍光灯のウォールウォッシャーをデザインした。室内に明るさ感を与えるため、障子に光をあてた。

(2) 局部照明で高い照度をとる。高年齢者は、若い人に比べ3倍の明るさが必要である。ダウンライトやスタンドで局部的に1000lx前後の照度となるようにした。

(3) 一般にメタルハライドランプや蛍光灯は、住宅に不向きな光源であると言われているが、内装にナチュラルな素材や温かい色を選ぶことによって、冷たさのない快適な室内をつくることができた。
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ダイキン
オー・ド・シエル蓼科


建築設計:アルテック建築研究所
竣工:1991年

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1992年 北米照明学会賞 Award of Merit
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宿泊キャビンや茶室などの建物が点在して建てられているこのリゾート施設の中心になっているのは、敷地を貫く渓流を囲むように建てられたセンターハウスとアミューズメントハウスである。二つの建物の渓流に面した側はガラス張りになっており、自然がそのまま内部空間に溶け込むよう計画されている。照明計画の目的は、都会的に洗練された未来志向型の二つの建物と自然を結びつける夜景をつくることであった。それぞれの特徴を出しながら自然を挟んだ一つの空間として、どのように光で演出するかが照明の重要なポイントとなった。

透明ガラスで囲まれたセンターハウスは、敷地内のどこからも内部が良く見える建物である。ロビーとレストランにはそれぞれ特徴のある器具をデザインし、施設の中心であることを表現した。また、天井にはアップライトを設置し、内部を間接光でやわらかく照明すると同時に、テント屋根全体を行燈のように光らせて外部照明の役割も兼ねさせた。

アミューズメントハウスの天井面は暗くしてクローズな感じにし、スポットライトで鉄骨の梁や岩山を照らして屋外の木漏れ日の雰囲気をつくった。

自然の暗さを背景に、一方の屋内の照明は他方の屋外の照明となる。二つの建物の照明はそれぞれ別々の個性を主張しながら、自然をより引き立てる一つの空間を生み出すことに成功した。
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