1993-1995
作品集
RAY index



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久米設計本社ビル
キャノン下丸子本社ビル
楽趣里すずひろ
光のプリズム

近田玲子デザイン事務所が手掛けた作品のご紹介

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久米設計本社ビル

建築設計:久米設計
竣工:1993年6月

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中心には自然光が充分入り込む6層で吹き抜けのアトリウムがあり、建物の性格の決定づける大きな要素となっている。照明計画ではアトリウム、執務スペース、リラックス・スペースの3つの場所の光の色を積極的に使い分けることによって、ダイナミックな空間の変化と、光の色の変化に応じた気分の切り替えの2つを図った。

執務スペースの照明は、昼間の自然光に馴染みの良い色温度5000ケルビンの蛍光灯で、照度も高い。これに対して、リフレッシュ・コーナー、バー・コーナー、社員食堂などのリラックス・スペースの照明は、3000ケルビンのハロゲンランプとコンパクト蛍光灯を使い、照度も抑えて温かみのあるくつろいだ雰囲気にした。

それでは、この2種類の空間をつなぐアトリウムの光はどうあるべきか。執務空間と同じ色温度の高い光では、せっかくの空間が目立たない。かと言って色温度の低い光だけではホテルのロビーのようでくだけすぎてしまうし、執務スペースの色温度の高い光との違和感も強いだろう。接客スペースでもある以上、ちょっと違う印象を与えたい。自然光が入るとは言え、打ち合わせテーブルでは図面の小さな文字が読める明るさも必要である。以上の点を検討した結果、アトリウム空間の基本設計は、食堂やバーよりも少し色温度の高い領域の3500ケルビンのメタルハライドランプを使い、執務スペースとリラックス・スペースのどちらにも馴染む空間とした。
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キャノン
下丸子本社ビル ロビー


建築設計:日建設計
竣工:1992年11月

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玄関ホール正面に広がる高さ16mのロビーは、この建物の中心であると同時に、キャノンの顔になる場所である。ふだんは会議場のホワイエとして使われるが、時にはレセプション・パーティが開かれたり、新製品の展示場ともなる。照明計画では、2種類の光色と2つの照明方法とで昼間と夜の光をデザインした。

昼間――中心部のガラス屋根からはトップライトが入るが、ロビー内には10〜1%程度の中光しか期待できない。昼間も光を補う必要があることから、250Wメタルハライドランプのウォールウォッシャー・ダウンライトで両側の壁を照らし、解放感のある明るい空間とした。

夜間――メタルハライドランプの白い光が消えて、ハロゲンランプの温かい光色に変わる。ガラス屋根の下に設置した吊り下げ灯に組み込まれている500Wハロゲンランプの狭角スポットライトはロビーの中心部分を、100Wハロゲンランプはガラス屋根を囲む壁だけを明るく照らす。階段も手すりに組み込んだ足元灯だけになり、昼間の活動的な雰囲気から陰影のある落ち着いた雰囲気になる。ウォールウォッシャー・ダウンライトと吊り下げ灯は、どちらも昇降装置がついているのでランプ交換は安全で容易に行える。
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楽趣里すずひろ

竣工:1993年3月

楽趣里すずひろ
箱根の入口にある蒲鉾の老舗「鈴廣」が経営する和宴会場「楽趣里すずひろ」。ここには越中の合掌造りの民家が移築されている。国道1号線、小田原厚木道路からよく見えるため、以前から建物の投光照明が行われていたが、光の色が冷たく、宴会がない日には特にもの寂しい印象であった。そこで、景観照明のリニューアルを行った。

既設の投光器の位置と照射方向を調整して、屋根全体に光が当たるようにした。さらに窓の外側と内側から照らすあかりを加え、建物を使っていない時でも人の気配が感じられるようにした。以前に比べ、生活感のあるあたたかい印象の建物に生まれ変わり、利用者や観光客の目を楽しませている。
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光のプリズム
川口西公園


建築設計:近田玲子デザイン事務所
T.I.S. & パートナーズ
竣工:1993年12月



photo (C)
KOBAYASHI, Kenji.
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1994年 北米照明学会賞 Award of Merit
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JR川口駅前に完成した「光のプリズム」は、人工地盤上の広場から駐輪場に下りる階段とエレベーターシャフトを覆う雨よけ施設である。

広場ができた当初からきちんとした施設をつくる予定であったが、周囲の景観になじむデザインがなかなか決まらず、長い間仮設のまま放置されていた。早朝から深夜まで利用されること、夜間の広場景観の中心的存在となることから、川口市は照明デザイナーに設計を依頼し、彫刻的な光のモニュメントの誕生となった。

外形は広場に面した高層ビルのデザインや四角錐の駐輪場トップライトを意識して幾何学的な形態とした。高さ4.3mのエレベーターシャフトを覆うため内部に柱はたてず、1辺7.2mの立方体を傾けて全体で8.3mの高さとした。以前の雨よけ施設はこれより小さいが、不透明な外観のため重く見えていた。そこで、クリアガラスと張力トラスを使って透明感を強調し、ボリュームを感じさせないようにしている。

照明は「内部からもれるあかり」を基本とし、構造体を照らすことによって柔らかな光が階段室と広場の両方を照らすようにした。使用光源は12V75Wのクリアー・ハロゲンランプと、12V50Wの青と赤のカラー・ダイクロイック・ハロゲンランプ。明るい銀色に仕上げられた鉄骨フレーム、張力トラス、ステンレスワイヤーにあたった光は、ガラスに映り込んで無限の広がりを見せる。

毎正時には、光がプリズムのように青から赤にゆっくりと変化して時間を知らせる。夜が更けるに従って光の量は徐々に少なくなっていき、午前零時に消灯する。
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