新年にあたって
12月末から近田玲子はイタリアのベネツィアで冬休みを過ごした。毎日満ち潮を挟んで4時間サン・マルコ広場は水浸し。観光客は幅1mほどの渡し板の上をぞろぞろと歩くしかない。15年前はすのこ程度で済んだのが今や高さも40センチは必要になった。サン・マルコ広場だけでなくベネツィア中の道路の至る所に水が溢れている。深い所では25センチ。長靴がなければびしょぬれだ。ドブや汚水が流れ込んでいるかも知れないので何が何でも濡れたくない。お店の入口にはがっちりしたステンレスの板がはめ込まれ水が店内に入るのを防いでいる。それでも店員は毎朝どこからかしみ込んだ水のしまつに追われている。どの家にも床から40センチ位の高さに排水ポンプが取り付けられていてあちこちの家から道路に水が排出される。すっかり水が引いた後も湿った生臭い匂いがたちこめる。
日本だったらとっくの昔に水辺に防潮堤を作っているところだろう。美しい水辺の景色を守ることと自然の脅威のはざま。ベネツィア市民はこの難問をどう解決するのか。地球温暖化と地盤沈下。日本にも様々な影響が出始めている。容易ならぬ事態である。地球人の一人として私に出来ることは、エネルギーをこれまで以上に大切に使う設計をすることだ。 |
2005/1/xx |