ブルーノ・タウト
伊勢神宮や桂離宮など、日本美の極致を世界に紹介したドイツの建築家ブルーノ・タウトは、1933年から36年まで日本に滞在していた。名著「ニッポン」(ブルーノ・タウト/森儁郎訳/株式会社講談社)の中に、タウトが見た日本の照明文化の一端を書き残している。いわく、「日本で殊に美しい光景は夜間照明である。(中略)奈良春日神社の2千の石灯籠と、青銅製吊灯籠とは素晴らしい光の祭典を現出するに違いない。」と、社寺崇拝と照明が直接関連していると、私見を表わしている。一方で、「照明がまったく軌道を外れていることがあるのは、怪訝に堪えない。純日本的な住居では、{中略)部屋を効果的にかつ改善して照明することは、当然出来るはずである。恐らくはもっと光源を分散させたり、またランプをもっと低く下げてみたり、スタンドランプを用いたりして、いろいろ試して見る必要があるだろう。」と、日本の住宅照明に対しての不満も述べている。一室一灯の日本の住宅照明は、80年前から変わっていないと知り、照明デザイナーとしてはちょっとくやしい(近田玲子)。
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2007/7/xx |