1993-1995
作品集
RAY index



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ヨコハマ・ポートサイド
巣鴨の二世帯住宅
コーベコニシ本社
STEP 中央工学校
WISH-21 いわき実証棟

近田玲子デザイン事務所が手掛けた作品のご紹介

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ヨコハマ・
ポートサイド


発注者:横浜市 住宅都市整備公団
竣工:1994年3月


ヨコハマ・ポートサイド
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1995年 北米照明学会賞 Award of Merit
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ヨコハマ・ポートサイド地区は横浜駅東口に広がる約25haのオフィス、住宅、商業施設混在の新しい街である。従来、行政が手がける屋外照明は道路や公園などの公共部分に限られ、結果としてポール灯を設置するだけに終わっていた。

しかし、都市照明と言う面から見ると、むしろ民間施設の光の方が全体の光景観に大きく関わっている。そこでヨコハマ・ポートサイド地区では、自治体と地権者が一緒になって街づくりを考える組織をつくり、道路や民間施設が一体となった屋外照明計画を行った。

4haの中央ゾーンでは、商店街のアーケード照明、広場を覆う人工地盤の照明、店舗の軒下部分の照明、シースルーの建物の内部照明など、歩道や広場につながる民間施設の照明を街全体の屋外照明計画に組み込み、光源、明るさの強弱、点灯時間を設計した。

街の中央を貫く都市計画道路には、車道用の照明ポールの他に両側の建物に壁付けの歩道照明を設置した。道路がすっきりする、建物上部の住宅に光が入らなくなる、壁に反射した光が歩行者に視覚的な明るさ感を与える、壁面の光のアクセントが店舗に賑わいを与えるなど、壁付け歩道照明には多くの利点がある。

維持管理費、電気代は建物側で負担することになるが、質の高い街づくりを考えるうえで必要な照明であると民間施設側に認められ、街全体のプール金でまかなう仕組みがつくられた。その他、超高層住宅棟の頭頂部のライトアップの設置など、民間施設にも積極的に協力を依頼して街全体の魅力的な夜間景観づくりが実現した。
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巣鴨の
二世帯住宅


建築設計:スタジオ建築計画
竣工:1994年10月


巣鴨の二世帯住宅
photo (C)
MURAZUMI, Souichi.
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1995年 北米照明学会賞 Award of Merit
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この住宅では、住宅と街(地域)、親世帯と子世帯の関係を光でどうつくるか、高齢者のための明るさ環境をどうつくるかの2つをテーマとした。

親夫婦がこの地に住みはじめて45年、近所には古くからの馴染みも多く付き合いも盛んだ。通りに面した玄関ホールは天井への間接照明と足元灯がそのまま外から見える。その両脇の階段室のあかりが道行く人を照らす。中庭を挟んで向かい合う親世帯と子世帯も、あかりが点いたり消えたりするのを見てそれぞれの生活を身近に感じ合う。プライバシーを保ちながら、中で生活する人の気配が感じられる光によって、住んでいる人と街との開かれた関係が生まれる。

70代の親夫婦だけでなく、視力の衰え始めた40代後半の子夫婦にとっても、10年後、20年後に向けた明るさ環境が必要となる。初めて訪れた人は誰もが、明るく柔らかい雰囲気であることに驚く。この家での居間から洗面所に至るまでのかなりの部分に、電球色の蛍光灯を使っている。壁や天井への間接光で部屋全体の明るさを得、新聞を読んだりする場所には部分的に直接光で明るさを補っている。

照明を全部点けて明るくすると、大きなガラス面に映り込んで部屋が倍の広さに感じられる。照明を消すと朝日や夕焼け、月の満ち欠けが見える。これ以上の贅沢は、ない。
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コーベコニシ
本社 流通センター

建築設計:山本良介アトリエ
竣工:1994年3月


コーベコニシ 本社 流通センター
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1994年 通商産業省 グッドデザイン賞 施設賞 受賞
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この建物は、酒販問屋コーベコニシの新本社であると同時に、酒販情報センター、流通センターの役目を果たすように計画されている。建物のテーマは「浮遊する数寄屋」。茶室建築から生まれた数寄屋づくりの「粋」という概念に、海水の中に浮かぶ厳島神社の浮遊感を重ねたイメージで設計された。

照明計画では、建物が宙に軽く浮いた感じを表現すること、構造体の美しいリズムを見せることの2つをポイントとした。高床式の事務所棟は、1階を暗くすることで、明るく照らされた2階の屋根を強調し、建物全体を光のウェーブとして見えるようにした。

エントランス・ロビーとトラックの駐車場となっている1階の照明は、床埋め込み器具からのアップライトを設置し、闇の中に柱だけを浮かび上がらせた。2階にある事務所は、天井の木の梁の間に蛍光灯の半間接器具を吊り下げて、曲線の柔らかな流れ、木の温かさを生かした照明とした。倉庫はメタルハライドランプの投光器による天井間接照明とし、端正にデザインされた鉄骨や梁の美しいリズムをそのまま見せた。
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STEP
中央工学校 創立85周年記念館

建築設計:林雅子 / 林・山田・中原設計同人
竣工:1994年10月


STEP 中央工学校 創立85周年記念館
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1995年 北米照明学会賞 Award of Merit
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JR王子駅近くに完成した中央工学校創立85周年記念館「STEP」は、11箇所に分散する校舎の核として作られた施設である。

講議、演劇、展覧会などに使われる多目的スペースの主照明は、両側の壁に設置された光壁である。点灯時には、全体がムラなく光ると同時に眩しさを抑える必要がある。消灯時には、内部が透けて見えずに白い壁として見せたい。数度の実験の後、光の透過率は高いが拡散性の高いフロスト加工の乳白合わせガラスを採用し、55Wコンパクト蛍光灯を縦長のガラスの上下に各1灯ずつ設置した。

施設中央の大階段は、点在している校舎をつなぐ構内の道であると同時に、生徒の優秀作品を展示する場所になっている。階段の中央と上下の入口から自然光は入るが、昼間も補助照明が欲しい。上り下りの時に眩しさがなく展示作品をハッキリと見せる照明として、150W小型メタルハライドランプ(WDL)の狭角スポットライトを階段の両側の壁に埋め込んで、それぞれ向い側の壁を照らした。

この照明計画では、できるだけ省エネルギーのランプを最小限の数使い、交換が容易な場所に設置するなど、管理面での配慮をした上で、学校全体の中心としての格調と創造性を育む場所をつくり出すことが出来た。
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WISH-21
いわき実証棟

省エネルギー住宅

建築設計:積水ハウス、東芝、京セラ、三洋電機、ダイキン工業
竣工:1995年1月


WISH-21 いわき実証棟 省エネルギー住宅
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1995年 北米照明学会賞 Award of Merit
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福島県いわき市郊外に、太陽電池を屋根材に使った2世帯実験住宅が完成した。

太陽電池の最大発電能力は4,284W、年間発電量は約4,600kWh。一般家庭の照明、テレビなどの家電機器と電気による調理を含めた量に相当し、使用量を上回った発電分は電力会社に売り、夜は安価な深夜電力を買う。照明計画では、省エネルギーで長寿命という利点を持ちながら、これまで使われる機会が少なかった発光ダイオードやELランプを一般照明として楽しむ使い方を試みた。

親世帯と子世帯の2つの建物に挟まれた玄関ホールの照明は、靴脱ぎ場の段差を示す発光ダイオードと暖炉へのスポットライトだけで、庭の照明が楽しめる明るさとした。子世帯の2つの個室にはそれぞれ、光ファイバーで送られた小さな光が星のまたたきのように明るさを変える天井照明、青い水槽のように光るELランプを組み込んだ間仕切り家具を、居間には宝石のように輝く緑の発光ダイオードとテーブルを明るく照らすダイクロ・ハロゲンランプを組み込んっだ照明器具をデザインした。

こうした光源を生活に取り込むことで、家族一人一人の時間とスペースを大切にしながら共有の時間と空間を楽しめる住まいづくりが実現した。
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