1986-1992
作品集
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聖路加国際病院
日本生命 新総合研修センター
昭和記念公園 さくらの照明
横浜博覧会 ゲート照明
目黒雅叙園 招きの大門
目黒雅叙園 和室宴会場
目黒雅叙園 アトリウム

近田玲子デザイン事務所が手掛けた作品のご紹介

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聖路加国際病院

建築設計:日建設計
竣工:1992年

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初めて病院を訪れる人にとって、広い病院の中は迷路と同じだ。各階に分かれた専門外来の窓口を探すにも、勝手が分からずにうろうろすることが多い。

今回の照明計画では、第一に「空間の形と光で記憶出来る場所づくり」を考えた。まずメイン通路は、他の場所とは違う天井の形にして自分の位置が分かるようにした。東西の出入口を結ぶ通路はボールト型天井、通路の真ん中にあるエレベーター前はクロスボールト型天井として、ウォールブラケットからの間接照明で、やわらかなトーンのものになっている。また、待合スペースの天井には十字架の形の折り上げ天井を設けて天井への間接照明とし、場所の印象を強くした。

第二は、高齢者も充分読書出来る明るさの確保である。待合部分には、経済性が優れ、効率がよく、かつ温かみを感じさせる、3000K前後の電球色蛍光灯と暖色メタルハライドランプを使用した。2、3階にある専門外来の待合ロビー部分には、ピンホール型の暖色70Wメタルハライドランプで照度を確保すると共に、すぐ脇をストレッチャーに乗せられた患者が仰向けに寝ながら通っても眩しくないようにした。また、受付カウンター側の壁面を蛍光灯のウォール・ウォッシャーで照明して、視覚的な明るさを取ると同時に窓口が誰にもはっきりと分かるようにした。

これらの照明計画は、落ち着きのある温かい光によって患者の緊張を大幅に滅らすことが出来たと同時に、空間の形と光で場所を記憶させることによって、視力が弱った高齢の患者が表示を読まなくても行き先が分かるようにすることができた。
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日本生命
新総合研修センター


建築設計:久米設計
竣工:1989年


日本生命新総合研修センター
これは、日本各地で働く日本生命相互保険会社社員のための研修施設である。この建物の特徴は、グランドロビーと呼ばれるトップライトのある屋外庭園にある。照明にあたっては、研修練・宿泊棟・大講堂・会議棟など使用目的の違う各建物毎の特徴ある照明計画を行う事と共に、それらを総合的に結ぶ研修生のいこいの場となるグランドロビーの照明計画が最も重要なポイントとなった。

施設の核となっているグランドロビーは、幅38m・天井高15m。昼間は、トップライトからの充分な陽ざしを受けた解放的で明るい広場となっている。夜間のベース照明は、足元を照らす低い庭園灯や水面に映り込む小さな明かりと、特別にデザインしたポール灯で、昼間とは全く違う暗めの落ち着いた雰囲気をつくった。トップライトの下には建物や樹木を照らす400Wメタルハライドランプ8台とカフェテラスをくっきりと明るくする500Wハロゲンランプ8台を取りつけ、視覚的なポイントをつくった。

適度な明暗のある温かい雰囲気をつくることができたことにより、一般の研修施設にはないリラックスした環境の中で効果的な教育ができる事を確信している。
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昭和記念公園
さくらの照明


竣工:1988年

昭和記念公園 さくらの照明
日本では昔から月見、花見など、自然の移り変わりを愛でる習わしがある。わけても桜の花は、冬が終わり、新しい事の始まる春の予感を感しさせてくれる。照明コンセプトとしては、日本人が桜に寄せる様々な感情を光で表現する事であった。

春の予感――250Wハロゲンランプ投光器36台による横からの投光。
華やぎ――乳白プラスチックガードつき、60Wトップミラー白熱ランプ208灯を桜の木から吊るし、全体を柔らかく光らせる。
やすらぎ――40W白熱ランプの庭園灯36台を芝生に配置し、人々がグルーブ毎に集うなごやかな雰囲気をつくる。
高まり一一一400Wメタルハライドランプ、カラーフィルター付スポットライト3台で、琴が演奏される舞台の前にある大きな桜の木に強い光のアクセントをつくる。
静寂一一100Wメタルハライドランプ16台で真下から照らし上げる。
惜別一一閉園時間になると、桜の木への照明は消され、芝生を照らす庭園灯だけとなる。

照明コストは、一回限りのイベント的照明に比べ約3倍であったが、今後10年間は同じ器具を使うことが出来る。一番苦心したのは、桜の咲く前の枝だけの状態の時に、花に当たる光を想像して明るさを決める事であったが、結果は想像以上に幽玄で、ドラマチックなものとなった。桜まつり以外の時は、公園の木や芝生を保護するため、照明器具の取付けは架設的なものとし、毎年使用できるよう、器具は簡単に取り外せる構造とした。電気容量は、隣接する日本庭園の照明用電源を使用した。
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横浜博覧会 ゲート照明

建築設計:GK設計
竣工:1989年

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ヨコハマ・エキゾティック・ショーケースと名付けられたこの博覧会は、市政100年、開港400年を記念して1989年3月26日から10月1日まで開催された。潮風にはためく帆「はたはた」を共通テーマに、変化する生活や都市の自在環境を表現する試みがなされた。

会場内の4カ所のゲートは軽快で半透明なシルエットが特徴で、同じ構造と素材でプロポーションの違うデザインでまとめられている。夜のサーカスのようなエキゾティックな何かを期待する人々のためにゲート照明は、以上のように考えられた。
(1) ゲートの四スミに立てられた25mの柱一一メタルハライドランプ400Wによりゲートの位置を知らせるランドマークとする。
(2) 高さ12mの半透明なテント――ハロゲンランプ250W投光器80灯の間接照明によって空に浮かんでいるように見せる。
(3) テントを支える三角形の支柱一一テントの柔らかい光と対象的にシャープなハイライトとして見せる。

この照明によってゲートを訪れた人は、宇宙を航海する船に乗ったような体験をしたに違いない。
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目黒雅叙園 招きの大門

建築設計:日建設計
再利用計画、内装設計:アトリエM
竣工:1991年

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1992年 北米照明学会賞 Award of Merit
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玄関ホールを過ぎると、極彩色の木彫板があでやかな回廊から、招きの大門を経て、雅叙園の中心施設ホテル・バンケット棟に至る。招きの大門は建物の中に作られたホテル・バンケット棟への入口である。

回廊から招きの大門への照明計画は、敷地の関係からホテル・バンケット棟へのアプローチが長くなってしまったのを逆手に取って、これから始まる宴の舞台へと人々の心を徐々に高揚させていく光をつくることにあった。回廊に足を踏み入れると、まずトップライトが入っているような明るさに驚くことだろう。そして次に歌麿の浮世絵のような、極彩色の木彫板の一つ一つの物語に引き込まれていく。大きくカーブした回廊の光は、先へ先へと力強く人々を誘導する。その先に現われるのは暗く静まり返った水面に、重々しく姿を映す招きの大門。うきうきした気分が一瞬引き締まる。くっきりと明るい門の中。そして奥に垣間見える、明るく華やかなホテル・バンケット棟。

両側の池には水中照明が埋め込まれ、通路と池とを区切っている。天井にはメタルハライドランプのダウンライト2台と、ハロゲンランプの埋め込みスポットライト2台だけを設置し、暗い夜空のような空間の中に、どっしりとした屋根と金色に輝く彫刻を浮かび上がらせている。

ドラマチックな明るさと暗さを交互につくることにより、長いアプローチというマイナス面をプラスに転換して、目的地への期待感を盛り上げる場所にすることができた。
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目黒雅叙園 和室宴会場

建築設計:日建設計
再利用計画、内装設計:アトリエM
竣工:1991年

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1992年 北米照明学会賞 Award of Merit
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旧目黒雅叙園は、美術品をふんだんに取り入れた絢爛豪華なインテリアから、「昭和の龍宮城」と呼ばれ、東京名所の一つになっていた。今回の全面的な改築計画では、ホテル・バンケット棟の中に、昔の部屋を完全な形で復元した和宴会場がつくられた。改築以前は照明が暗く重苦しい雰囲気だった事から、照明設備は全て新しくデザインしたものが使われた。

照明設計にあたっては、(1) 美術品を効果的に見せる華やかな和風空間の演出、(2) 美術品の保護、の二つが大きなポイントとなった。天井や壁面の美術品への照明には、熱や紫外線をカットした出来るだけ小さい器具を使った。彩色木彫板には光ファイバーを使ったウォールウォッシャー、日本画にはフロスト加工した紫外線防止フィルター付ハロゲンランプのダウンライト、前面ガラス付ダイクロイック・ハロゲンランプのスポットライトと、フラットな光と陰影を見せる光とを美術品に応じて使い分けた。

天井が美術品で覆われているために埋め込み器具を取りつけられない部屋には、特別な吊り下げ灯をデザインした。天井へのアップライト、壁へのスポットライト、テーブル面へのダウンライトの三つの機能と装飾性を兼ね備えた器具である。

新しい目黒雅叙園は、華やかな雰囲気の中で美術品を効果的に見せる光の全てを満足させることに成功し、再び東京名所の一つによみがえった。
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目黒雅叙園 アトリウム

建築設計:日建設計
再利用計画、内装設計:アトリエM
竣工:1991年

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1992年 北米照明学会賞 Award of Merit
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