国内初の音と光による無料の常設公共庭園照明である。金沢観光に訪れる人たちの拠点として楽しんでもらい、宿泊にもつなげることを目的とした、
テーマは「夕焼け」。400年近くにわたって代々の藩主たちが愛でた庭園の魅力を春夏秋冬と四季の変化に応じた7分間の灯りで表現した。
この庭園には高さも2mから10mとまちまちな珍しい石垣がパノラマ状に広がり「石垣の博物館」とも呼ばれている。
配管配線を含めて掘削できる深さは15センチメートル以下に押さえることが条件であったことから、照明器具は地表に設置せざるを得なかった。上方光をカットするバンドアにもう1枚可動バンドア付フードを取付けたり、場所に応じてハニカムルーバーや拡散フィルターを装着して光をコントロールした。
RGBタイプLED 18W9149台、色温度変換タイプ18W37台の計186台で、29ヵ所ある石垣面の明るさを全体のバランスを見ながら一つ一つ設計した。
40°のワイド配光の投光器で照らした光の上に40°×10°のシャープな配光の光を乗せることで、浮世絵のような「色のにじみ」のある夕焼け空を表現した。
色温度を2700Kにした夕焼けの庭から、色温度を6500Kにした月光の庭へと移り変わる灯りに加えて、オリジナルに作曲した箏や尺八など和楽器の演奏にあわせた7分間のプログラムを全部で8つ作った。