作品名

北海道ホテル

設計

象設計集団

受賞

1996 IES/Award of Merit

所在地

北海道 北海道地方

竣工

1995年

カテゴリ

ホテル・宿泊施設

概要

100年ほど前まで北海道は蝦夷と呼ばれていた。狩猟・漁労で暮らしていた人々が育んだ装飾性を、建築設計者は蝦夷デコ=蝦夷アール・デコと名付け、建物全体のデザインコンセプトとした。

初めてホテルを訪れた人は、まず外壁の柱の上の大きな7羽のふくろうの彫刻に驚くことだろう。羽を休めた形から一羽ごとに少しづつ羽を広げ、最後の一羽は今にも飛び立っていきそうだ。ロビーに入ると動的な外とは対照的に、静まり返った庭の木々が目に入る。右手から庭に突き抜ける煉瓦の柱の一つ一つに光が与えられ、蝦夷独特の線型パターンが浮かび上がる。左手の青い色漆喰の壁に当てられた光が、奥のフロントへと導く。冬寒く夏涼しい気候であることから、ロビーは太陽光が差し込むように作られており、昼間は格段に明るい。日差しの入らないフロント周辺が対照的にうす暗く見えないよう、絵を展示するギャラリーにして壁面に積極的に光を当てた。

夜の主役は庭の照明である。ロビーの天井に設置したのは全てアジャスタブル・ダウンライトで、下から見上げたとき眩しくなく、かつガラスに映り込まないよう綿密に照射角度が調整されている。

土、煉瓦、漆喰、木□□素材を知り尽くした職人の技が光を受けて様々な表情を見せる。全てが一体となり、装飾の域を超えておおらかに息づく。