十勝川にかかる日本一橋桁面積の広いPC斜張橋の夜景観では、橋の特徴のボリュームある2本の主塔をすっきり見せることと、そこからのびる力強いワイヤーを強調することの2点を主体とした。
まず、ワイヤーが形づくる2つの山形を見せるために、橋上に投光器ポールをたて、ワイヤーを投光した。ワイヤーは黒色で計画されていたが、それでは投光しても光が反射しないため、ワイヤーの上3段を明るいグレーに塗装してもらい、山形の輪郭がはっきりと見えるようにした。昼間はワイヤー全体が面として雄々しく見え、夜間はシャープで軽快な印象となっている。
ワイヤーを支える68mの主塔は、橋を通る車や歩行者からの視線を意識して、進行方向から見える面を投光した。また、投光していない正面は、主塔を光の線で縁どり、河原や少し離れた所にある丘から見えるように考えた。主塔の全面を照らすのではなく、投光と光の線を組み合わせることによって、ボリュームのある塔をすっきりと見せている。
光の線には、側面の光るファイバーを10cm離して2本取り付け、線が遠くからはっきりと見えるように工夫している。メンテナンスは、主塔下の光源ボックスのみ行えばよいようになっている。光の線は、春は白、夏は青、秋は緑、冬は朱と四季によって色を変え、季節感を出している。また毎時0分になると上記の4色がゆっくりと変化し時間を知らせる。
橋の周辺の河原では、毎年夏に花火大会が開かれる。大勢の人で賑わうこの時期はもちろん、厳しく長い冬の間も、夜空にはばたく2羽の鶴のようにも見えるこの橋が、町に住む人々にとって自慢の景色の一つになることを願っている。