調和のとれた夜景づくり:
調和のとれた夜景をどうつくるか?旧国鉄大宮操車場跡地に、国の行政機関、アリーナ、ひろば、宿泊施設、新駅、商業施設の整った47.4haの新しい街が誕生した。街づくりの中での照明デザイナーの役割は、まち全体の夜間景観の考え方を示し、その考えに基づいて、各事業者毎に個別に計画していた照明計画に検討を加える「マスター照明デザイナー」という仕事であった。照明図面での検討では、見上げたり見下ろした時の光を見落としがちになる。そこで、目に入る全ての光を「塊、面、軸、点、地、下」の6つに分類し、まち全体の中での位置付けを示した。そして課題の分析と、解決のための提案を「照明検討シート」としてまとめ、さらに3Dモデルを利用したCGを作り、各事業者と協議、調整した。
夜間景観の考え方:
1. 人の気配のある夜景をつくる
2. 街の構造をわかりやすくする光を計画する
3. 魅力ある光のグラデーションをつくる
4. 建物内の低層部を含めた街全体の照明点灯プログラムを設定する
夜間景観検討シート(課題分析と新たな照明提案、調整):
9つの事業主体ごとに作成した「夜間景観検討シート」は、縦軸に塊の光、面の光、軸の光、点の光、地の光、下の光の6項目をあげ、横軸には項目に沿った課題と解決のための提案とそれに対する事業者からの回答を記録し、全体照明計画の中での各々の位置付けが一目で分かるようにした。また、3Dモデルを利用した夜景CGを作り、各事業者と協議、調整した。人の目線からのスタディという手法は、今後も様々な照明計画に応用出来る。
[塊の光] 建物からのもれあかり(遠方から光の塊として見える建物内の光。)建物のライトアップ(建物頂部は広域的なランドマ−クとして象徴性をもたせる。)
[面の光] 建物のライトアップ。JR線から見える街のファサ−ド(電車から見えるまちの魅力的な夜景。)歩行者導線に面した建物からのもれあかり(セミパブリックな光として歩行者デッキや広場に面した建物低層部の光をとらえる。)
[軸の光] 歩行者導線の光−にぎわい軸、ふれあい軸、ときめき軸(安全で快適に歩ける。)主要幹線道路の光(街の構造を把握しやすいよう明るさや照明器具に特徴をもたせる。)
[点の光] 目印となる光(歩行者デッキと道路レベルをつなぐ上下動線や、2つの軸が交差する所には目印となる光を置く。)
[地の光] 樹木や水と一体になった光(植栽や水の計画とあわせて人に近い光を設け、変化のある空間をつくる。)
[下の光] デッキ、ブリッジの下の光、地下道の光(昼間薄暗く閉鎖的になりがちなので、目に見える明るさをつくる。)