2014年08月--日

キガリ市(ルワンダ)都市計画視察

塵一つ落ちていない街路、ガラス張りのオフィスビル。イタリア人、アメリカ人、韓国人、シンガポール人が働くキガリ市役所の都市計画課では、アフリカの中核都市を目指しての都市整備計画が進められている。近田玲子は、日本都市環境デザイン会議のメンバーとしてキガリ市役所を訪問し、市長や都市計画部長から計画の概要を聞くことができた。ルワンダは1994年に国を二分しての大虐殺が行われた。この事件以降に就任したポール・カガメ大統領は、世界に開かれた街でありたいと考え、都市基盤を整備する計画をアメリカのカール・ワージントン氏に依頼した。9年前、今後50年に300万人~500万人を抱える首都キガリのマスタープランが策定された。担当者の案内で、2025年に完成予定の大規模中心ビジネス街、バスターミナルの整備、高級住宅地の開発、生活困窮者・虐殺による身体障害者用住宅供給などの現状を視察した。再開発のためのには住んでいる土地を立ち退かなければならない。「反対する人はいないのか?」と質問すると、UMUGANDA(ウムガンダ)と呼ばれるコミュニティが選んだ5人の委員からなる自治会組織で決めるので反対者はいないと言う。この組織は町村レベル、県レベル、国レベルと持ち上げられる。猛烈なスピードで進む都市化の波の中で、次々と整理される住宅密集地区。反対者が出ないという組織はちょっとこわい。Clean、Green、Safetyを掲げる市に、「都市照明は安全に欠かせないと考えるが、計画を考えてはどうか。」と言ったところ、「確かに重要だが、まだ照明計画には手が回らない。」とのことだった。ルワンダの世界遺産は、イスラム教徒の住むモスリム街の迷路のような街並、刑務所、約3000世帯の昔ながらの生活を続ける「森の人たち」の住む地区、の3つ。これからが、ルワンダ独自の文化を残しつつ近代化を進める、再生の正念場である。

<< 前のニュース 2014 年 08 月ニュース一覧へ 次のニュース >>