小学校は人の一生のうちでも一番印象に強く残る場所だが、照明に関しては、画一的で機能本位。小学校は単に知識を教わる場ではなく、子供たちそれぞれの個性を伸ばす場所である。
子供の時に体験する豊かな光の記憶は、その人の一生の光に対する感性に大きな影響を与えると思われる。
そこで、三つの場所を中心にデザインを考えた。一つめは、子供たちがそれぞれの教室を自分の部屋と思えるようにしたい事。学年ごとに形の違う照明器具をデザインした。
二つめは、子供たちが気軽に出入りでき、先生がゆったりと過ごせる職員室の照明の事。光源が全く見えない吊下灯で、机上を明るくする事に加えて、天井を照らす間接照明で、部屋全体が柔らかい光で包まれるようにした。
三つめは、地域の人たちが学校の施設を積極的に利用するための音楽室や体育館を含めた外周りの照明の事。これまで日暮れと共に、不気味な空間と化していた学校が、夜も安全で地域の人々に親しみの持たれる場に変わった。
学校で使われている光源のほとんどは蛍光灯であるが、今回はそのすべてを電球色を使用し、温かい光で包んだ。
生徒・先生にとって、良い環境の中、おおらかな気持ちで過ごすことが、ストレスの緩和できる、いじめのない毎日につながる事を期待する。