JR王子駅近くに完成した中央工学校創立85周年記念館「STEP」は、11箇所に分散する校舎の核として作られた施設である。
講議、演劇、展覧会などに使われる多目的スペースの主照明は、両側の壁に設置された光壁である。点灯時には、全体がムラなく光ると同時に眩しさを抑える必要がある。消灯時には、内部が透けて見えずに白い壁として見せたい。数度の実験の後、光の透過率は高いが拡散性の高いフロスト加工の乳白合わせガラスを採用し、55Wコンパクト蛍光灯を縦長のガラスの上下に各1灯ずつ設置した。
施設中央の大階段は、点在している校舎をつなぐ構内の道であると同時に、生徒の優秀作品を展示する場所になっている。階段の中央と上下の入口から自然光は入るが、昼間も補助照明が欲しい。上り下りの時に眩しさがなく展示作品をハッキリと見せる照明として、150W小型メタルハライドランプ(WDL)の狭角スポットライトを階段の両側の壁に埋め込んで、それぞれ向い側の壁を照らした。
この照明計画では、できるだけ省エネルギーのランプを最小限の数使い、交換が容易な場所に設置するなど、管理面での配慮をした上で、学校全体の中心としての格調と創造性を育む場所をつくり出すことが出来た。